そのう停滞

そのう(嗉嚢)は鳥類特有の消化管です。食道の途中に存在し、一時的に食べたものが滞留し、次の消化管である腺胃(1つ目の胃)へ流れていきます。例外として、フクロウ、オオハシにはそのうは存在しません。鳥種によって通常のそのう容積は異なります。例えば、成鳥時のセキセイインコは2~3ml、オカメインコは4~5ml、ブンチョウは1~2mlです。幼齢の頃のそのうの容積はこれよりも多いです。何らかの原因でそのうが過伸展してしまい、通常よりも大量の食物が滞留してしまったり、そのうから腺胃へ食物が長時間流れていかなくなってしまう消化管機能障害をそのう停滞といいます。

写真はそのう停滞症のオカメインコのそのうです。このオカメインコはそのうが過伸展しており、さらにそのうの中に大量の異物が蓄積していました。

幼齢期の超過剰量のさし餌やそのうの神経を障害するような外傷や感染によって発症することはありますが、突発的に発症することもあります。そのう停滞の治療は非常に難しく、完治(そのうが過伸展しなくなる)することはほとんどありません。胃腸機能改善薬の投薬とともに、少量頻回の採食を心がけることになります。重症化すると、そのうを含めた消化管機能不全に陥ることもあります。