鳥類の甲状腺は気管分岐部に存在します。哺乳類と同様に、代謝に関与する甲状腺ホルモンを分泌しています。通常は数mmほどの大きさで、レントゲン上では確認することはできません。一方で、甲状腺腫の場合にはレントゲン上で拡大した甲状腺を確認することができます。
声がかすれている、声が出ない、呼吸が苦しい、血色が悪いなどが症状として挙げられます。また、夕方以降に症状が出やすいのが特徴です。原因はヨード不足です。甲状腺ホルモンの材料として栄養素であるヨードが必要となります。皮付餌にはヨードがほとんど含まれていません。皮付餌主食の場合にはビタミン・ヨード剤を摂ることが必要不可欠です。
治療は甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンナトリウム)の投与がメインとなります。また、治療期間中は放鳥してはいけません。飛ぶことで拡大した甲状腺に負荷をかけてしまい、喀血することもあり、大変危険です。