肺炎・気嚢炎

鳥の呼吸器はガス交換能力が非常に優れており、ガス交換領域は哺乳類の10倍ともいわれています。哺乳類と異なり、肺以外にも気嚢と言われる呼吸器を有しています。気嚢は体のいろんな部位にあり、頸気嚢、鎖骨間気嚢、前胸気嚢、後胸気嚢、腹気嚢があります。また、肺のガス交換最終単位は気道細管であり肺胞がないという特徴もあります。鳥はそんな肺や気嚢に感染や炎症が起きてしまうと、大きく具合を悪くしてしまう動物でもあります。

レントゲン:肺全体野の不透過性亢進、肺前縁および後縁ライン、気嚢ライン

こちらは呼吸器の炎症である肺炎、気嚢炎のセキセイインコのレントゲンです。寒暖差による体調不良で発症してしまったようです。口をあけて呼吸している、咳をしている、血色が悪いなどの症状があると要注意です。呼吸器であり肺や気嚢の広範囲に炎症を起こしています。感染に対応するための抗生剤や抗真菌剤と炎症を鎮めるための抗炎症薬などの内服とともに、皮下注射やネブライザー処置を併用することもあります。

レントゲン:治療2か月後 肺ラインの消失 肺全体野不透過性減衰 気嚢ライン消失

治療には数カ月、場合によってはかなり長い期間かかることが多く、後遺症が残ることもあります。また、治療だけでななく、自宅での保温環境やケージレストでの安静も大切です。