手術症例:そのう内異物摘出(そのう停滞症併発)

原因不明のそのう拡大で他院に通院していたオカメインコの状態が改善しないため、セカンドオピニオンで来院しました。
そのう内に大量の異物があることが触診でわかりました。
鳥の獣医師は鳥のそのうを日々触り慣れており、そのう内のエサ量、停滞感、異物など様々なことを判別しています。診察では必ずそのうの触診をしており、日々指先の感覚を研ぎ澄ませています。

すでに自分では食べることがあまりできなくなるほど弱ってしまっていました。入院で体力を回復させてから、そのう内異物の摘出術をしました。

消化管であるそのうは切開線が広くなるほど、術後の経過がよくありません。異物がギリギリ通るだけ、皮膚切開、そのう切開しました。
20gの異物をそのうから摘出できました。
そのう停滞症により、そのうが伸びてしまっているところに、タオルなどを日常的に食べてしまっていたことが原因と考えられます。

かじることが好きな子で食べているかも…という場合は要注意です。そのう内異物はもしできてしまったとしても小さな段階で摘出すると負担は少ないです。一方で、このオカメのように大量に誤食して異物化してしまうと危ないこともあります。
犬猫では催吐処置により、吐き出させてあげることもありますが、鳥類特にインコオウムでは催吐処置は危険を伴うので実施を検討するのは異物がかなり小さい場合に限定されます。

術後経過は良好で、今は自分でごはんを食べることができています。ハリソンハイポテンシーなどカロリーの高い食べ物で栄養改善中です。


そのう内異物は摘出できましたが、そのう停滞症は治りません。異物がなくても15gはそのうに溜まってしまう状態です(オカメインコのそのう容積は通常4〜5gほど)。
今後は少量のご飯を頻回に分けて食べる必要があります。自宅看護が大変ではありますが、通院のたびにそのうを注意深くチェックして、この病気とうまく向き合っていけるように、いっしょに頑張っていきたいです。