手術症例:脛足根骨骨折整復(ピンニング術)

普段は飛べないセキセイインコが同居の子たちが飛び回る様子に驚いたのか2日前に飛んで墜落してしまったとのことで来院。右脚を挙上しており、触診にて脛足根骨骨折が確認できました。

鳥の骨の修復は早く、骨折の場合はできる限り早い対応が必要となります。数日経過すると骨癒合が進み、ピンニングは不可となってしまいます。レントゲン検査結果から、関節面に近すぎるということはなく手術可能、上腕骨には発情による骨髄骨がありましたが大腿骨や脛足根骨にはなくこれも手術可能と判定できました。受傷して2日でしたので少し骨癒合が進もうとしていましたので手術のタイミングはぎりぎりです。

骨折の治療は手術による整復、あるいは外科ではなく外固定がありますが、外固定のデメリットは鳥はどうしても動いてしまうため骨がまっすぐつながらないことがあり歩行の左右差がでてしまうことがあります。まっすぐに元通りの歩行を目指すには外科によるピンニング術が必要となります。飼い主さんはピンニング術を選択されました。

切開前の様子 受傷部はひどく内出血しています

内側アプローチにて実施します。皮膚、筋層切開し、骨折部を確認。ステンレスピンを挿入しました。閉創後はテーピングしすぐにピンが正確に挿入できているかレントゲン撮影し、ピンが正確に挿入されているか、膝関節を傷害するほど挿入しすぎていないかチェックします。

無事にピン挿入が確認できましたので手術終了です。このピンは入れっぱなしではなく、1か月ほどで抜くことになります。その際は麻酔をかけることなく、外部にあえて出してあるところから抜きます。退院し、経過をみていくところです。安静に抜ピンまで過ごしましょう。

1か月後、抜ピンしたステンレスピン  抜ピンの際には麻酔は基本必要なく、体表に設置していたピンの先端を鉗子でつかんで慎重に抜きます。