手術症例:卵塞・卵墜(緊急手術)

数日前に他院にてもう何もできないと言われたセキセイインコが来院しました。お腹はかなり大きくなっており、検査にて複数の卵が卵管内に詰まっており、さらに多量の卵材が卵管の外でお腹の中に落ちていることがわかりました。状態は悪く、腹膜炎などもかなり進行していました。他院の診断結果から飼い主さんはほぼ諦めかけていましたが、まだ手術であれば助かる可能性がありました。当日緊急手術を提案し、実施しました。

レントゲン検査結果 ※本来は消化管の走行を確認するためにバリウム造影検査もしますが、状態は悪く検査のための時間がかけられないと判断したため、今回は実施していません。

開腹すると、体腔内は卵管から逆流して体腔内に落ちた多量の卵材で炎症が強く認められました。卵材を摘出し、体腔内を生食加中性電解水にてしっかり洗浄しました。そして卵管内にも2つの卵があったため、卵管切開にて摘出、続いて機能不全となった卵管を摘出しました。

摘出した卵、卵管 ※体腔内の卵材は別

術後は胃腸機能の回復と腹膜炎のコントロールを行いつつ、入院で体力回復させました。お腹がすっきりしたこともあり、排便障害を呈することなく術後経過は良好で、退院。通院治療に切り替えました。

助けることができてよかったです。病気の種類や重症度にもよりますが、手術という選択と実施ができる鳥の病院であれば助かる命もあります。このセキセイインコはまだ3歳でした。長く元気に過ごしてもらえたらなと思います。