鳥は発情していると、メスの場合は卵を産んでしまうことがあります。卵を産まなくても、繰り返される発情は病気の原因になってしまいます。
鳥の発情抑制の基本は食事制限です。鳥は食事量が多いと発情しやすくなります。発情抑制に大切な要素の90%以上は食事量です。どんなに他の対策(発情対象の除去、巣材の撤去など)をしていたとしても、食事量が十分にあると発情してしまいます。まだ鳥の医療が浸透していない頃、鳥は早く寝かせましょう、と言われていましたが、早く寝かせても発情抑制効果はあまりありません。日照条件にやや敏感な鳥種(短日発情のブンチョウ、長日発情のキジ目(ニワトリ、ウズラ)など)もいますが、日本国内で飼育されるほとんどの鳥種は日照条件での発情抑制効果は高くありません。
発情抑制のためには、とにかく食事量。体重をキープできる適切な食事量を心がけるようにすることが発情抑制の第一歩であり、最も大切なことです。朝、(昼)、晩の1日2-3回に食事を分けてあげることも大切です。もし体重が増加してしまうなら、発情してきている(メスであれば卵管発達し、卵を産む準備をしている)可能性があります。その場合は、普段の食事量よりもさらに制限し、体重をあげないようにしていくことがおすすめです。食事量と合わせて、フォージングをはじめとする環境変化をつけていくのがおすすめです。
鳥は長寿の動物です。動物なので発情を完全にゼロは不可能ですが、長寿のポイントは、できる限りの発情抑制です。
また、発情がどうしても止められない、とても発情しやすい子もいます。発情は病気ではありませんが、時には、薬(ホルモン剤)の力を借りて発情を止めてあげることも考えます。薬で発情を止めている間に発情抑制の方法を見直していくのがよいと思います。発情抑制のために、薬はずっと使い続けるものではなく、もしもの時は薬の力を借りることができると考えるのがよいなと思っています。
鳥の発情を止めるための薬は、酢酸リュープレロリン(短期作用型)、レトロゾールがよく使用されてきました。ここ最近では、長期的に止めるためのホルモン剤であるリュープリンpro(長期作用型・徐放剤)も普及してきています。個体差はありますが、リュープリンproでは長ければ約3ヶ月の効果が見込まれます。