心機能低下

人と同じく、鳥も年をとると臓器の機能が低下してきます。老齢による心機能低下はどんな鳥でも起こりうることです。ブンチョウやボタンインコ、コザクラインコでは老齢での心機能低下が比較的多く認められます。老齢でなくても、先天性であったり、他の病気から併発したり、さまざまな理由で心臓の機能が低下することもあります。

すこし飛んだだけでの疲れやすさ、呼吸促拍で飼い主さんが気づき、来院することがあります。聴診で不整脈や逆流音といった心音の変化を聴取することもできれば、レントゲン検査にて心胸郭比の明らかな変化、心臓の変形(心房拡大など)、肺野の蜂巣構造の明瞭化(肺高血圧疑い)などで診断していきます。肺炎などの呼吸器疾患との鑑別が大切です。

レントゲン検査:心胸郭比が大きく、肺の蜂巣構造明瞭化も認められる。

犬猫では心臓の超音波検査や心電図検査がありますが、小型鳥ではそれらの検査が実施できないことがほとんどです。小型鳥ではブンチョウが比較的、超音波検査にて診断できることがありますが、負担が大きく、実施しない選択をすることも多いです。当院では心臓が悪い場合に超音波検査まで実施することは少ないです。大型鳥では心臓の超音波検査で弁の閉鎖不全などを判定できる場合もあります。

また、鳥ではチラージン(甲状腺ホルモン製剤)によって心臓に悪影響が出ることもあります。チラージンはこの面から、鳥では甲状腺腫や高脂血漿などの治療のために使用することもある薬ですが、あまり用量を増やすことのできない、長い期間の使用には注意の薬です。