胃炎になる原因はメガバクテリア感染、寒暖差、ストレスなど様々な原因が挙げられます。時にメガバクテリア(マクロラブダス)感染は治療が遅れると胃炎になることが多く、さらに重度の場合には胃がんを発症するリスクが高くなることがわかっています。鳥類の中でもセキセイインコのメガバクテリアの保有率は非常に高いため、お迎え時に早めに健康診断にて無症状のうちに対処することが大切となります。
症状は体重減少、食欲不振、吐き気、便が緑色・茶色~黒色・小さい・出ていない、尿酸しか排出しないなどが挙げられます。特に黒い便をする、尿酸しか出ていない、体重がどんどん下がってくる場合には要注意です。
重度の胃炎の鳥の便:黒い便が出ている(左)、尿酸しか出ていない(右)
ペットバードの胃炎は重症度はさまざまですが、非常に多いです。鳥の獣医師にとって、胃炎の鳥を診ない日はないほど胃炎の鳥は多いです。症状に合わせて胃腸薬の種類や用量を適宜調整していく必要があります。また、哺乳類よりもはるかに気圧や気温の変動に対する感受性が鳥類は高いため、気圧や気温の変動が大きな時期(梅雨や台風のシーズン、冬季)は症状が出やすいです。
なお、鳥類の胃がんは生前診断することが困難であり、死後解剖にて判明することがあります。犬猫と異なり、胃(腺胃、筋胃ともに)の内視鏡検査実施が現実的ではありません。仮に胃がんであることが生前判明したとしても胃の摘出などの積極的治療は鳥類の解剖生理学的に非常に困難です。